温暖な静岡でもやはり冬の寒さは厳しく、暖かな春は心浮かれる季節です。庭の草木もこの季節を待ち構えたように一斉に開花し、明るく華やかな春の色を楽しませてくれています。春と言えば新生活を迎える人も多いと思います。我が家でも長女が大学生となり、期待と不安を抱きながら新しい生活をスタートさせました。 ココラボのお施主さんもこの時期に家の完成を合わせる方も多く、子供たちの進学やお仕事の変化などで忙しい中、新しい木の家での生活をはじめられています。 新生活がスタートすると一番に必要になるのがテーブルや椅子などの身近な家具ですが、意外と家づくりの中で後回しになってしまうのも家具などをはじめとするインテリアです。完成間近になって慌ててショップ廻りをしたり、インターネットやカタログなどで急いで購入されている方もいるのではないでしょうか。ですが、家具も家と同様に様々なスタイルや製造方法があり、デザイナーやつくり手によって構造や細部のつくり方が違うため、見た目のデザインだけで簡単に選んでしまうのはちょっと危険です。椅子やテーブルなどは毎日何度も使うものなので、使い心地はもちろん耐久性や飽きのこないデザインも大切な要素のひとつだと思います。また、実際に使ってみてわかる事も多く、お店で座った時は問題の無い椅子でも長く座っていると疲れるとか、テーブルの高さや大きさが気になって使いにくいと言う声も聞いた事があります。折角こだわりを持ってつくった木の家に合わせるなら、やっぱり家具も愛着をもって長く付き合えるモノを選んで頂きたい。今回の特集では、ココラボのお施主さんがじっくりと選んだ家具を中心にご紹介し、家具の特徴なども合せてお伝えしたいと思います。 一口で家具と言っても様々です。均一な品質と低コストを目的に量産されている家具や、ひとつひとつ職人の手づくりで制作されている家具。また、使い手の要望に合せたオーダー家具や、素材を最大限に生かしたシンプルな家具などの様々なタイプがあります。また、家具を単に暮らしの道具として考えず、インテリアの一部として選ぶという選択もあると思います。北欧家具に代表される名作家具などを見ていると、単にひとつの生活道具としてだけでなく、部屋の印象として、また癒しの空間として、その存在の大きさを感じる事もしばしばあります。様々な家具がありますが、やはり木の家に似合う家具は品質も確かで、つくり手やデザイナーの顔が見えているモノを選んで頂きたい。そして、そのつくり手の思いやストーリーなども共感できれば、きっと長く愛着をもって使って頂ける家具に出会えると思います。家具屋さんをタイプ別に分けて見てみると、デザインから制作まで一貫して行う家具メーカーや、全国の優れた家具を取り扱う扱うセレクトの家具ショップ。使い手の希望や予算に合せてつくってくれるオーダーの家具屋さんや、家づくりの中で家具まで製作する建具屋さんや大工さんなど、様々なタイプの家具選びがあります。 ココラボでもお施主さんの希望や予算に合せて家具屋さんをご紹介していますが、色々な家具を実際に触れてみたいという方にはショールームのある家具メーカーやセレクトショップの家具屋さんに足を運んでみてはいかがでしょうか。家具メーカーと言っても全国展開している大型の家具屋さんでは無く、確かな品質でしっかりとした家具制作や販売を行っている家具屋さんがお勧めです。ショールームでは実際の家具に触れる事はもちろん、テーブルや椅子、ソファーなどをトータルにコーディネートする事もでき、部屋のイメージを掴むには良い場所だと思います。また、家具と合せて、ラグや照明器具、雑貨や生活道具なども置いているショップもあるので、ふらっと見に行くだけでも楽しい空間です。ショールームには何度も足を運び、お店の方と色々なお話をするのも良いと思います。どんなストーリーでこのデザインが生まれたのか? 素材に対するこだわりや制作過程の工夫など、話を聞く事で愛着もわき、少し変わったデザインもだんだんと身近に感じられる家具になるかもしれません。 「歩の家」広間のソファー 「歩の家」ダイニングテーブルと椅子 「虹の家」ダイニングテーブルと椅子 「囲い庭のある家」ダイニングセット |
||||||||
オーダー家具で製作する事が多いのはダイニングテーブルです。部屋の大きさや使う人数に合せたり、手持ちの椅子に合せて高さを調整したり、一部に引出しを設けたりと…。ココラボのお施主さんの中にはダイニングテーブルにこだわりを持つ方も多く、素材や形を吟味し、使い勝手などに合せて色々なテーブルが生まれています。オーダー家具は、素材からサイズ、細かな工夫まで可能性は無限大ですが、希望に合せて無理矢理つくるのではなく、木の事を熟知した家具職人の意見を聞き、素材や用途に合せてつくる事をお勧めします。 家づくりと合せて建具屋さんや大工さんに家具製作をお願いする事もあります。家に直接取り付ける造作家具と呼ばれる家具は主にこの職人さんたちにお願いしていますが、テーブルや机、ベンチなども合せてお願いするケースもあります。同じテーブルでもつくり方を見ていると様々で、建具屋さんはホゾと呼ばれる組み手を作り接合部を組んでいくのに対し、大工はダイナミックな木組みでテーブルを組んでいきます。当然でき上がりの雰囲気が変わってくるので、家のイメージやお施主さんの好みに合せてデザインを変えて作っています。 |
||||||||
「結びの家」ダイニングテーブル 「朝日の家」ダイングテーブル 「空を望む木の家」ダイニングテーブル 「礎の家」ダイニングテーブル |
||||||||
家づくりは暮らしの器をつくる事と言われます。どんなに素材や空間にこだわった家でも、床と壁と天井だけの空っぽ空間の中にいると何だか落ち着かない。そこにテーブルと椅子が置かれ、ラグを敷き、ソファーやスタンド、できれば花や緑があるとだんだんと落ち着いた空間になってきます。人が暮らす上で家具は重要な存在で、無くてはならないものだと思いますが、そのひとつひとつの家具の選びが重要で、部屋のイメージや暮らしの様子も全く別のものになっていきます。繊細で和の雰囲気をもった家具を選ぶと少し落ち着いた空間に、少し派手目な色合いの家具選ぶと華やかな雰囲気の空間に、また、それらに合わせたラグや装飾品、写真や好みの絵などを飾る事で、部屋の雰囲気もだんだんと自分だけの特別な空間に変わっていきます。 そして家具を中心としてお気に入りが少しずつ増え、積み重ねられたものが何ものにも代え難い大切な思いへと変わり、豊かな暮らしへと導いてくれると思います。あなたなら器の中にどんな暮らしを入れますか? |
||||||||
|
||||||||
|
||||||||