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街路樹が色づき始め秋の気配を感じる季節が訪れたと思ったら、あっという間に冬の足音が聞こえてくる季節になってきました。冬は寒く厳しい季節ではありますが、我が家にとってはとても楽しみな季節でもあります。あたたかなお鍋を家族で囲む楽しみや、クリスマスやお正月の賑やかな雰囲気も楽しみのひとつですが、やっぱり冬の楽しみと言ったら薪ストーブでしょう! 木の家に暮らして今年で12回目の冬がやってきました。毎年この時期になると薪ストーブに火入れをするのがとても楽しみで、まだそれ程寒くない日でも何かの理由を付けて早々火入れをしてしまいます。ゆらめく炎、ぽかぽかと体の芯まで暖めてくれる薪ストーブは我が家にとっては当たり前の存在で、今では無くてはならない暮らしの一部になっています。 私が家づくりを行った10年程前ではまだ設置するお宅が少なく特別の存在に見えた薪ストーブも、今では色々なメディアに取り上げられ頻繁に目にするようになってきました。また薪ストーブを扱うお店が年々増え、実際に使用している様子を見る事ができたり、使い方やメンテナンス、薪の調達についても気軽に相談できるようになって来た事で安心して取り入れる方が増えてきたように思います。 薪ストーブと言えば何となく想像する形や炎。たぶん多くの方が同じ様なイメージを持たれているのではないでしょうか? 暖炉と混乱している方もいると思いますが、黒い鉄の固まりで、4本足の何となくクラシックなデザインのあの形…そしてゆらゆらと燃える炎。何処と無く特別な存在で、メンテナンスや毎日の取り扱いも大変そう…と思われている方も多いと思いますが、最近の薪ストーブ事情は変わって来ています。薪ストーブ屋の伝兵衛堂さん流に言えば、薪ストーブにもマニュアル型とオートマ型が有るとか。ダンパーや給気口があちらこちらについて、いかにも操作の難しそうなマニュアル型に対して、これでも薪ストーブ? と思える様なスッキリとしたデザインで着火も楽々なオートマ型のストーブもあります。また、インテリアを重視したスマートでオシャレストーブや、クッキングなどが楽しめる個性派のストーブも登場してきました。今までは薪ストーブと言えばこれしか無いのかな? と思っていた方も、選択肢が増えてきた事で暮らし方に合せた薪ストーブ選びが出来ますね。敷地条件や家族構成によっては薪ストーブが適さない方も多いと思いますが、薪ストーブを取り入れたいと考えている方は自分たちに合った薪ストーブを見つけてください。今号では、デザイン別に薪ストーブを分け、機能や性能なども合せてご紹介したいと思います。これからの薪ストーブ選びにお役立てください。 色々な薪ストーブが出てきてもやっぱりこのカタチ。この重厚な存在感が好きと言う方も多いのではないでしょうか。アメリカの薪ストーブを代表するバーモントキャスティングス社とヨーロッパを代表するヨツール社のクラシックデザインストーブ。それぞれに考え方は違うようですが、デザインの中にあるレリーフにも深い意味があり、歴史や願いなどが刻まれていると聞いた事があります。本体は重厚な鋳物で作られ、ずっしりと重く存在感のある鋳物は蓄熱性に優れ長い時間輻射熱を放ちます。また、クラシックなデザインストーブですが、どちらもクリーンな排気をするために、それぞれの考え方に合せた燃焼方式を採用しています。バーモントキャスティングス社は触媒方式、ヨツール社はクリーンバーン方式と呼ばれる燃焼方式を主に採用しています。 この二つのメーカーの薪ストーブを同じ枠でご紹介するのはある意味違うかもしれませんが、このスタイルを見ると薪ストーブの歴史や大切な思いを感じます。炎のゆらめきや薪ストーブの暖かさがある事で、毎日の暮らしにこれほどまでの豊かさを与えてくれる。そんな豊かさを感じる薪ストーブだと思います。 クラシックなデザインの薪ストーブも好きだけど、毎日使うものだから手間を掛けずに気軽に使いたい。薪ストーブを特別なものとして考えず、暮らしに必要な実用器具として考えている方にはこのタイプがおすすめです。基本的にはヨーロッパ製の薪ストーブが多く、ヨツール社同様にクリーンバーン方式を採用しています。大きなガラス面で綺麗な炎が特徴で、ガラス面が曇りにくくゆらめく炎はオーロラの様な幻想的な炎になる事もあります。また安全面にも配慮され、天板や本体の側面などは高温に成り過ぎず危険度を下げた薪ストーブだと思います。天板が高温に成りにくいと言う事は、お湯を沸かしたりお鍋を温めたい言う方には少し不向きなように感じますが、ネスターマーティン製の薪ストーブなどはパーツを変更する事でクッキングなどを楽しむ準備もされています。ココラボの家づくりの中で、子育て世代の方に多く選ばれている薪ストーブがこのスタイルです。機能とデザインを併せ持ち、メンテナンス性も良いバランスの取れた薪ストーブです。 アメリカやヨーロッパ製の歴史に裏付けされた薪ストーブは、性能も良く安心して使う事ができますが、完成された製品は何処か味気ないと感じてしまう方もいると思います。また、家づくり同様、顔の見える関係を大切にしたいと考えると、薪ストーブもハンドメイドで作られたものを取り入れたい思う気持ちもあります。日本製の薪ストーブはまだ多く無いですが、ひとつひとつ手作りで作られている薪ストーブがある事をご存知ですか? 日本ではまだまだ歴史の浅い薪ストーブなので、完成された物と言うよりは、個性的な物、独創性のある物といった印象の薪ストーブもあります。ココラボで採用させて頂いたハンドメイドの薪ストーブ屋さんは2社あり、どちらもスタイルが私好みなのか、とても心惹かれる薪ストーブ屋さんです。今回初めてご紹介するケンズメタルワークの高橋さんの作る薪ストーブは個性的なクッキングストーブですが、端正な姿がとても綺麗で、これも機能とデザインを併せ持った優れた薪ストーブだと思います。性能面でやや心配なハンドメイドストーブですが、高橋さんの基準は厳しく、独自のクリーンバーン方式やガラス面を曇らせない工夫がされています。また、設置場所によってガラス扉の開き勝手を変えたりサイドの扉を増やしたりする事も出来て自由度も上がります。今年工房の近くにショールームをセルフビルドで作られたと聞きました。ご興味のある方は是非見学に行ってみてください。暖かい炎と、高橋さんのやさしい笑顔が迎えてくれます。 クラシックデザインの薪ストーブをイメージしている方がこれを見ると少し驚かれるかもしれません。薪ストーブメーカーから続々とリリースされている新型薪ストーブ。北欧などではすでにこのスタイルが定番とか…。椅子の高さに合せた縦長スタイルをはじめ、カラフルな色や形も特徴的な薪ストーブも人気です。 私も初めてドブレのこの新しいストーブを見たときはビックリしました。なに? 電子レンジ? テレビ? でも着火すればはやり薪ストーブ、しかも綺麗な炎…。見ているうちにだんだんと愛着も湧いてくる憎めないスタイルです。暖かさとインテリア性を兼ね備えた薪ストーブ。これからの薪ストーブになりそうです。 薪ストーブと一口に言ってもデザインや機能、利用の目的で様々な物があります。薪ストーブと言えば少し前までは特別な存在で、別荘や高級住宅、または一部のこだわりのある人だけが設置する物だと考えがちでしたが、自分たちの暮らしに合った物を選ぶ事で、毎日の暮らしの中に豊かな時間を生み、彩りや楽しみを与えてくれると思います。 暖かさは豊かさ。炎を中心とした暖かな暮らしは人を集め、心を豊かにしてくれます。エアコンや床暖房などのような手軽な暖かさでは無いですが、苦労して集めた薪で得られる暖かさは何とも言えず心まで温めてくれます。寒い冬はまだまだまだこれからです。薪ストーブで暖かく楽しい冬を過ごしてみませんか。
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